◆+MARGINAL 書き下ろし冒頭サンプル◆

〜緑谷出久の場合〜










雄英高校の卒業式は一般高校と比べると特殊だ。
各科、教師と競うバトルが繰り広げられる。僕が在籍するヒーロー科はプロデビュー前の卒業生と現役の教師らの二手にチームが組まれて闘う。
僕は卒業生側に組み込まれる筈なのに、ヒーロースーツに着替えた直後、何者かに連れ去られた。
気が付いたら、僕は何故か教師側にいた。

「緑谷くん! どうして先生達の方にいるんだ!?」
「なんでデクくんがそっちにおるん!?」

愕く飯田くんと麗日さんに聞きたいのは僕のほうだよ? と叫ぶ。

「緑谷少年! 頑張れ!」
「オールマイト!?」

バトルフィールドの外に細い姿、トゥルーフォームのオールマイトがいた。力を使い果たした彼は卒業式に参戦出来ないのだ。
うん。そこまでは分かる。分かるよ!
けど、なんで僕はこっちにいるの!?
僕の疑問に答えるかのように、オールマイトに抱き上げられた校長先生がマイクの電源を入れて喋る。

「やあ! ご卒業おめでとう。と言いたいところだけど、無事に卒業の合格がもらえるかは最後の試練を乗り越えてからだ。それと、今年も例年通り、卒業生である君達の対戦相手は教師達だ。でも、一つだけ変更点がある。教師側の人数合わせのために、オールマイトの代わりを緑谷くんにお願いした」
「お願いされてませんよ!?」
「お願い」
「雑だ!」

いきなり拉致されたかと思えば、これだ。ヴィランの仕業じゃなくて良かったけど、雄英の行事は毎回心臓に悪い。この三年間で慣れたけど。
クラスメイトと闘わなくちゃいけないのか……と、僕はA組のみんなに向き合う。
かっちゃん。僕の幼馴染が前に出てくる。

「デクは俺が殺る」

睨み付けられて僕は縮み上がった。
かっちゃんの横にいた切島くんが呆れ気味に肩を竦ませる。

「そう言うと思ったぜ」
「安心しろよ、二人の邪魔はしねぇって」
「巻き添えも御免だしな」

上鳴くんと瀬呂くんが切島くんに相槌を打ちながら、かっちゃんを後押しする。
更に一歩前に出たかっちゃんの隣に轟くんが並んだ。

「轟、てめェ邪魔する気かア?」
「俺は緑谷の隣にいる相澤先生に挑みてぇ。一年の時の期末試験、ぜってぇ手を抜かれた」

轟くんは後ろの八百万さんを振り返る。

「私も轟さんにお供しますわ。相澤先生にリベンジしたい気持ちは同じです」

轟くんと八百万さんは相澤先生狙いか。担任を狙いに定めているのは二人だけでなく、あす……梅雨ちゃんもだ。

「なら、デクは俺のもンだ」

かっちゃん、言い方ちょっと考えようよ。誤解されそうだよ、それ。

「ば、爆豪くん! 激しいのはあかんよ!」

麗日さんもなんか可笑しいよ。

「本気でやンなきゃ意味ねェだろが。俺はここで一番で勝って、一番に卒業したるわ!」

卒業はみんな一緒にだよ、かっちゃん。

「デク!」
「うわ! はい!」
「てめェの大好きな右の大振りでブッ殺してやる! 楽しみにしとけや!」

イキイキと拳を叩き合わせるかっちゃんに僕の足はガクガクと震える。嗤っているかっちゃんの目は殺る気満々だ。

「マジでか」

僕の膝まで笑ってるよ、かっちゃん。

「お前ら、全然仲良くならなかったな」

最後の最後まで。と、相澤先生に憐れみの目を向けられる。
本当にその通りです、先生。
一年の時に喧嘩紛いの決闘をした僕らだけど、会話が出来るようになったくらいで、関係が変わったかと言えばそうでもない。
お互いに譲歩する隙間を作っただけでも、大進歩なんだけど。それ以上にはならなかった。
卒業式が終わったら話したいことがあるって伝えたけど、かっちゃんちゃんと来てくれるかな?

「卒業バトル! レディー、ゴー!」

校長先生の合図があがり、僕はフルカウルを全身に巡らせた。
全員、無事に卒業しました。B組のみんなも。
結果だけ言うと、時間切れの引き分け。ハンデの無い教師陣に圧勝するなんて無理な話だしね。
僕とかっちゃんも引き分けだったけど、時間切れのアラームが鳴った後、僕は倒れた。かっちゃんは立っていたから、僕の敗けだと思ってる。かっちゃんはどう思ってるか分からないけど。

負傷した全員をリカバリーガールが治癒してくれて、回復してから卒業証書を授与してもらった。リカバリーガールの個性の癒しは個人の体力を治癒力に変換するようなものだ。実質、自身の体力を使うわけだから眠くなり、みんなフラフラしてた。毎回こうだから、卒業式の様子はテレビ中継を断っているらしい。確かに、これを放送されてもシュールすぎる。

「デクくん! 元気でね!」
「アメリカで良い経験が出来ると良いな!」
「うん、有り難う。麗日さんと飯田くんも元気でね」

オールマイトのつてを頼り、僕は数ヶ月後にアメリカに飛び立つ予定だ。
今生の別れじゃないけど、一年間は日本に戻って来られない。だから、かっちゃんに言いたいことがあった。日本を発つ前に。
クラスメイト達と卒業を祝い合う言葉を掛け合い、僕は彼の姿を探した。教室にはいないようだ。
呼び出した場所に僕は向かう。階段を駆け上がり、ひたすら上を目指す。
屋上に続く扉を押し開けば、青空が拡がった。昼前の空気は暖かい。
階段を駆け上がって息の上がっている僕は、呼吸を整えながら屋上を見渡す。誰もいなかった。

「来るわけ、ないか」
「クソ邪魔だ」
「わ! いたの!?」

振り返れば、かっちゃんが眉間に皺を刻んで立っていた。

「てめェが呼び出したんだろが! 早よ、行け!」

背中を蹴られ、僕は屋上に飛び出る。
雄英の校舎は大きく、屋上も広い。僕らがいた折寺中学校よりも広大だ。だから、踏鞴を踏んでもそう簡単に崖っぷちまで行かない。
それなのに、引き留めるように僕の後ろ襟を掴む手があった。
信じられずに僕は同じ人を振り返る。

「かっちゃん……」

君がいた。

「クソデク」

焦った顔を緩めるかっちゃんに僕は頬を緩ませる。次第にかっちゃんの顔が凶悪に歪んでいった。僕は笑顔を蒼褪めさせる。
殴られた。
理不尽だけど、かっちゃんは言葉で示すことが少ない。色々考えてるから。
もしかしたら、ワンチャンダイブって言ったこと気にしてたのかな。でも、中学の時、そんな素振りは全くなかった。
かっちゃんの口悪さは良く知ってるし、僕もいつものことだと気にしてなかった。そりゃあ、言われた中でもかなり酷い部類に入る暴言だったことには違いないけど。

「てめェに言いてェことがある」
「言いたいことがあって呼び出したのは、僕なんだけど」
「今話してんのは俺だア!」
「わ、ごめん」

僕が呼び出したくらいじゃかっちゃんは動かないと思っていたけど、やっぱりそういうことか。かっちゃんの自分至上主義なところ尊敬するよ。勿論、嫌味だ。

「てめェのその見下した目が気に入らねェっつったの覚えてっか」
「う、うん。でも、僕は君を見下してなんか」
「餓鬼ン時、川に落ちた俺にてめェが手を出した。あれからだ」
「…………」

そういえば。そんなこともあったような気がする。僕の記憶も蘇ってくる。

「てめェは俺を見下していやがった」
「それは誤解だよ! 浅い川だったけど、頭打ってたら大変だと思って」
「それが見下してんだよ! てめェは何一つ、俺のことなんか認めちゃいねェ! 俺はてめェを…………!」

そこから、かっちゃんは俯いてしまった。
僕はかっちゃんに近付く。彼が苦しそうで、心配で、助けたいと思ったからだ。

「……みとめてんのに」

掠れた声が微かに聞こえた。
かっちゃんの声を聞き取れたのに、僕はその言葉が俄には信じられず、足を止める。
かっちゃんが僕を認めているだなんて。そんなことは有り得ない。だって、君は、今までずっと。

「俺だって、こんなの認めたくねェ!」
「かっちゃ……」
「黙れ!」
「…………」

僕のことでかっちゃんが悩んでることは知ってた。けど、僕の理解は全然足りていなかったんだ。
小さい頃、かっちゃんは段々暴力的になっていった。それは、強個性を持ったが為にだと、思い込んでいた。けど、そうじゃない。僕を認めてしまっていることを否定したくて、がむしゃらに抗っていたんだ。

かっちゃんが僕の何を認めているのかは分からないけれど、これ以上、彼の悩み苦しむ姿は見たくなかった。僕が憧れていた君はいつだって強い人だった。
僕は「ごめん」と謝って彼を横切る。

「待てや」
「……どうして、止めるんだよ」
「てめェの話を聞かせろ」

僕は言い出すのを躊躇った。僕が言いたいことを言ったら、絶対に君を今以上に悩ませる。そんなことしたくなかった。君は、僕の憧れなんだ。

「もういいんだ、呼び出して悪かったよ」
「あア!? 人を呼び付けておいて、その態度は何だァ? クソナード!」

わ。いつものかっちゃんだ。
こんなんだから、悩んでるって気付かないんだよ。

「じゃあさ、ちゃんと返事くれる?」
「俺の返事が必要な用件なんかよ」
「うん」

かっちゃんは何か考え込んでいる様子だ。
暫く待っていると、彼はちょっと緊張した面持ちで僕を見つめた。真剣に聞いてくれる態度に僕も言う決心が付いた。

「僕の」

でも、悩ませる結果になったら、ごめんね。

「サイドキックになってほしい」

かっちゃんからの反応はなかった。僕は彼が勘違いしないように言葉を続ける。

「あ、僕のって言ったけど、君のサイドキックにもなりたいんだ。お互いがお互いのサイドキックになれば、オールマイトの言葉を実現出来るって思うんだ」

オールマイトは平和の象徴の後継に僕を選んでくれた。けれど、平和の象徴を一人だけに背負わせる脆さを、彼の引退で全国民が知った。だから、オールマイトは僕ら二人に託した。次世代の平和の象徴を。
僕は、かっちゃんと凄いヒーローになりたい。

「てめェはアメリカ行くんだろが」
「うん。かっちゃんもベストジーニストの事務所に入るだろ? だから、今すぐの話じゃないよ。その先の約束をしてくれないかな」

アメリカへ一人で行くんだ。その心細さを君との約束で埋めたい。
暫く、かっちゃんは無言で、僕も黙り込む。
返事がほしい僕はひたすらにかっちゃんの言葉を待ったけれど、彼は僕を通り過ぎて屋上から去ってしまった。
覚悟はしていたけど、実際に断られるとキツかった。屋上に取り残された僕は、涙を我慢出来ずに頬を濡らした。

くよくよしていても仕方がない。卒業して実家に帰ってきた僕はアメリカ行き準備のために貯金通帳を開いた。
残高を確認した僕は天を仰いだ。オールマイトコラボカフェに貢ぎ過ぎた。
渡米には雄英から補助金が出るとしても、これは不味い。高校も卒業したのにお母さんに頼るのも格好悪いし。

僕は大いに悩んだ。悩みに悩んでコンビニに来てしまった。ヒーロースイングの新しい食玩発売日だからだ。実物を見てから買うか買わないか決めよう。
と、コンビニ前に立てば、バイト募集の貼り紙があった。短期も歓迎。これだ!
雄英はアルバイト禁止だったが、卒業した今なら大丈夫だ。それに、このコンビニの店長とは顔見知りだし、人付き合いが苦手な僕でもなんとかなるかも。

僕はコンビニに足を踏み入れた。レジの方からいらっしゃいませと声がしたが、女性のものだった。どうやら、店長は今は不在らしい。
どうしよう。僕はヒーロースイングが置いてある棚の前にまで行き、一つ選んでレジに持っていった。
レジの女の子にバイト募集について訊こうとするのだが、僕はなかなか口を開けなかった。クラスメイト以外の女子とお話しは無理です!!
有り難う御座いましたの声を背中に僕はコンビニを出て来てしまった。

名残惜しげにコンビニを振り返り、僕はバイト募集の貼り紙をもう一度見た。すれば、電話からの応募も受け付けていると、電話番号が書かれていた。僕はコンビニの電話番号をケータイにメモしてマンションまで急いで帰った。借りている部屋まで走り、自室に籠もる。
コンビニに電話しようと、番号を入力するが、手が震えた。めちゃくちゃ緊張する。

一旦ケータイを閉じて深呼吸。駄目だ、まだ心臓がバクバクいってる。
僕は買ってきたばかりのヒーロースイングの箱を袋から取り出した。端から見たら奇天烈な行動に見えるかもしれないけど、僕にとっては気合いの儀式だ。
トレーディング商品だから中身は見えないが、七種類のヒーローのいずれかが入っている。どのヒーローも最高だけど、僕の狙いはオールマイトだ。引退しても不動の人気のオールマイトは今もコラボ商品がたくさん出ている。企画してくれた人有り難う!

僕は緊張する手で箱を開けた。ビニールに包まれたスイングは馴染みのある黄、赤、青……オールマイトだ! え! でも待って! これパッケージとカラーリングが微妙に違……わ! わあー! これシークレットだ? マントが付いてるってことはシルバーエイジのコスチューム!あの銀時代をチョイスしてくれるなんて!! 生きてて良かった! 生まれて来てくれて有り難うオールマイト!! 僕は興奮のあまり頭を前後に振り乱す。しかし、机に置いたケータイの存在を思い出した。

「い、いけないっ。電話しなきゃ」

ゴクリと唾を飲み込んだ僕は、手の中のオールマイトを見つめる。

「僕に勇気をください」

オールマイトのシークレットが当たったんだ。師匠に背中を押してもらった気になった僕はコンビニに電話を掛けた。

明々後日。履歴書を持って面接に行くことになった。
うわぁ。面接なんて初めてだ。大丈夫かな?
いやいや、その前に履歴書書かなきゃ。雄英では履歴書の書き方なんて習ってないし、お母さんに聞いてみよう。後はネットでも調べて。やることいっぱいあるぞ。

僕は履歴書を持って、コンビニ前にいた。面接の日が来てしまったのだ。
電話を掛けたとき以上の緊張に手も足も震えていた。
鞄に付けたオールマイトスイングを見つめて、勇気を貰う。僕はコンビニへの第一歩を踏みしめた。
履歴書を持った僕を見て、店長は酷く愕いていた。

「え!? 緑谷君!?」
「えと、宜しくお願いします」

奥の事務室に僕を通してくれた店長の名前は灰廻航一さん。東京の大学を卒業してから静岡に来たって聞いてる。僕より大分お兄さんだけど、オールマイトファンの同志だ。
灰廻さんとは、このコンビニで出会った。出会いって表現は少し変かもしれないけど、何だか、灰廻さんとは出会うべくして出会ったって気がするんだ。

三年前に話は遡る。

オールマイトとの特訓に明け暮れていた僕はコンビニに行く機会が減っていた。雄英の入試に合格して、ようやく一段落した気持ちの浮かれから、買い忘れていたヒーロー雑誌を目当てに中学からの帰りにこのコンビニに立ち寄った。かっちゃんに邪魔されて雑誌は買えなかったんだけど、その後で中学卒業祝いにお母さんがその雑誌をプレゼントしてくれたんだ。よくよく話を聞くと僕がコンビニに来る前にお母さんは雑誌を買っていて、かっちゃんのお母さんが同行していたらしい。つまり、かっちゃんは邪魔をしたんじゃなくて、僕が雑誌を買うのを阻止したのだ。……あれ? 邪魔したのには変わりないか。
まあ、かっちゃんのことは置いといて。

お母さんが雑誌を買ったときにレジに通してくれたのが灰廻さんだ。僕が雄英に合格したって話を灰廻さんに自慢したって言ってた。ちょっと恥ずかしい。
その時は灰廻さんの顔を見て、名札を確認しただけ。灰廻……はいまわりって読むのかな?って。

ただ、僕は灰廻さんの顔に見覚えがある気がしたんだ。コンビニの店員をまじまじと見ることはないから、コンビニでって訳じゃない。
僕は寮に入る為の荷物を纏めている最中、息抜きに外に出た。そうしたら、近所で噂になっているクロウマンがゴミ拾いをしていた。
オールマイトパーカーを着ている彼に僕は注目していて、ヒーローノートにも記している。ネットで検索してもクロウマンの事務所ページは出てこなくて、謎が多いヒーローだ。新たな情報が得られるチャンスを見逃すわけにはいかない。

もう少し近くで見たいなと僕がこっそり電柱の影に忍ぶと、クロウマンは迷子の男の子と視線を合わせるためにしゃがみ込み、口元を隠すマスクを取った。子供を安心させる行動に好い人なんだなと僕は感心する。そして、瞬いた。
クロウマンの素顔が、あのコンビニで働いている灰廻さんだったからだ。

迷子を泣き止ませている間に、男の子のお母さんが慌てた様子で走ってくる。何度も頭を下げるお母さんにクロウマンは笑顔で「人助けが好きなんです」と言った。男の子とバイバイしたクロウマンはマスクを付け直して、四つん這いになると、再びゴミ拾いをしながら去っていった。

「格好良い……」

僕は放心状態だった。あのクロウマンの正体が灰廻さんだったなんて……!
興奮で今日は寝られる気がしないぞ!

寮生活が始まってなかなか家近くのあのコンビニに行けなくなってしまった。けれど、個性について呼び出されて喧嘩したのとは別に、授業中にかっちゃんと喧嘩紛いのぶつかり合いをして身体中を絆創膏だらけにした翌日。実家に衣替えで必要な荷物を取りに行くと言うかっちゃんに、僕も欲しい荷物があると返して、二人で地元に日帰りすることになった。

地元の駅で降りて、お昼を買いにコンビニに入ったんだけど、まさかかっちゃんからかっちゃんの家に誘われるなんて思ってもみなかった。
詳しいことは語らず、説明の足らないかっちゃんはヒーロー雑誌に夢中な僕を置き去りにして、先にお昼を買ってコンビニを出て行った。かっちゃんの自由行動にはもう慣れてるから、気にしてない。

僕はヒーロー雑誌を一冊手にして、お昼と一緒にレジに持っていった。灰廻さんがいる方のレジを選んで。
カツ丼弁当とミネラルウォーターがレジに通される。ヒーロー雑誌もレジに通り、僕は焦り出す。

「お弁当は温めますか?」
「あ。お願いします」

び、吃驚した。
突然話し掛けられて僕の心臓は飛び出そうだった。

「お箸は一つで宜しいですか?」
「はい」

うわー。ちゃんと喋れてる? 僕?
温めたカツ丼弁当とは別の袋にミネラルウォーターと雑誌を入れてくれて、心遣いに僕は感動する。やっぱり、灰廻さんと喋ってみたい!

「あ、あの」
「はい?」
「オールマイト、好きなんですか?」





同人誌「+MARGINAL」に続く


































2018/06/03発行同人誌「+MARGINAL」

pixiv投稿日:2018/05/28
更新日:2018/06/11








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