※ルルーシュ女体化長編小説「REMOTE CONTROL」の23話の後あたりのお話です。
※女性陣に覗かれるスザルル
※全然OKな方はどうぞ!




《REMOTE CONTROL 〜story23 extra〜》




黒の騎士団の潜水艦に設備されている食堂を覗き込む女性が五人。
その五人とは、カレン、ユーフェミア、ナナリー、井上、千葉の五人である。
更にもう一人は覗き込んではいないが、彼女たちの近くで澄ました顔をして壁に背を預けているC.C.。

「本当に何年経っても、女は人の恋路を覗くのが好きだな」

C.C.はカレン達に視線を向ける。
カレンが彼女の呟きに気付き、問い掛ける。

「何言ってるの?C.C.」

「別に。あの二人を覗いて何が楽しいのかと思っただけだ」

「だったら何で貴女は此処にいるの?」

部屋に戻ってチーズくんを抱いてベットに寝ていたほうが、C.C.にとっては至極の一時ではないのだろうか。

「ルルーシュから携帯を借りようと思ったんだがな。お前達がそんなことをしているから、ピザが注文出来ないではないか」

ピザが食べたいのか・・・。

カレンはC.C.の体系を見て、太らない体質が羨ましいと感じる。
多分、いや、絶対、ルルーシュも太らない体質だろうな、と再び食堂の中に居る二人を覗き込む。

食堂の扉の隙間から様子を伺われている二人はルルーシュとスザクである。
二人は食堂の奥の方に座っている。

此方からは向かい合って座っている二人の横顔を辛うじて見えるくらい。

「ユフィおね・・・ユーフェミア様、お二人はどんなご様子なのですか?」

「う〜ん。紅茶を頂いているだけみたいですね」

此処にはナナリーが皇族と知らない人が居たことを思い出し、ナナリーはユーフェミアの呼び名を訂正する。
ユーフェミアもそれに気に掛けることなく、普通に返事を返す。
大丈夫、バレてもいないし、特に不審にも思われていない。

「何も無いってのもねぇ、どう思います?井上さん」

カレンは年上の井上に聞いてみる。
自分よりは経験豊富な女性に聞くのが一番良いかもと思ったからだ。

「そうねー、あんまり奥手すぎると私は呆れて捨てちゃうかも」

「あの、井上さん自身の好みを聞いてるわけじゃないんですけど・・・」

「あらやだ。そうならそうと言ってよッ」

井上はカレンの背中をバシンと平手で叩く。鈍い音がした。
慌てて中を覗くが、二人は此方に気付いていない。
良かった。

「痛いじゃないですか・・・」

「ごめんなさい。ちょっと力入れすぎたみたい」

みたいじゃなくて、かなり入れすぎ。

「あの・・・」

一斉に声のした人物に視線が集中する。

声を掛けた千葉は一気に自分に向かってきた視線達に少し肩を強張らせた。
言おうとした内容も言って良いものなのかも躊躇に値するもので、なかなか千葉の口を円滑にはしてくれなかった。
しかし、確かめるならば今なのかもしれない。

「ゼロが紅月と一緒にガウェインで戻ってきた時なんですけど、彼女の首筋に付いていた所有印は彼のものなんでしょうか?」

キョトンとした顔を四人は千葉に向ける。
何時、ゼロの首筋を見ただとかの疑問が浮かぶ暇も無く、その事実はつまりスザクがルルーシュを・・・・・・・・・。

だとしたら、無人島でということになるのではないのだろうか。
あの時、そこに居たカレンとユーフェミアは小声ながらも叫んだ。

「じゃあ、避妊具も無しに!?」

「そんなッ不摂生です!!」

二人の叫びを井上と千葉が口を塞いで食い止める。
冷や汗を流しながら中を覗き込めば、スザクが一瞬此方を向いたが、また直ぐにルルーシュに向き直った。

「叫んじゃ駄目よ」

「すみません」

井上に怒られ、カレンは反省する。
だが、内容が内容なだけに心の整理が追いつかない。

「あ、でも、それなら私達が心配する必要は無いんじゃないですか?」

ユーフェミアは言うが、カレンは首を横に振る。

「駄目駄目。発展しないのも考えものだけど、ルルーシュをスザクに任せられるかってのもあるんだから」

「スザクさんならお兄様を任せられますよ?」

「ナナリーは合格点か・・・皇女様は?」

「私もルルーシュには申し分ない方かと」

「C.C.は?」

「まぁまぁだな。カレンこそどう思っているんだ?」

「私?私は・・・まぁ、合格ラインってところだけど。怪我してても助けに行ったし」

無人島のその事実が無ければ尚良しであったが。
了承の上の行為なら問題は無いが、無人島という場所は些かいただけない。
しかし、このまま此処で議論だけしていても仕方ない。

再び五人は中を覗き込む。
C.C.は壁に背を預けたまま天井を見上げた。

















「お前、怪我まだ治ってないだろ?」

「大分痛みは無くなってきたから大丈夫だよ」

「馬鹿、薬が効いてるだけだ。暫くはナイトメアに乗るなよ」

「ルルーシュが無茶しないならね」

「はいはい」

ルルーシュはティーポットに手を伸ばした。
だが、同時にスザクもティーポットに手を伸ばしており、お互いの指が触れ合うまで気付かなかった。

「「あ」」

二人同時に声をあげる。

「ごめん」

「いや、すまない」

お互いに手を引っ込めて、謝る。
ルルーシュは耳まで赤くして視線を逸らす。
スザクも顔を赤くして俯く。

静かすぎてスザクに自分の心臓の音が聞こえているのではないかと、ルルーシュは自分の胸を押さえる。
聞こえていたら、恥ずかしいどころではない。
ぎゅっと、固く瞳を閉じる。

















「じっ・・・焦れったいッ」

カレンは握り拳を作る。
しかし、音を立てられないのでぶるぶると震える拳の行き場は無く、ただ耐えるしかない。

「スザクももっと押せば宜しいのにッ」

「どうしたんですか?」

「ルルーシュとスザクの指が触れ合ったんだけど、二人とも謝って顔を赤くするだけで何も無いんです」

「まぁ。お兄様にはもっと強引に行ってしまえば宜しいのに」

「ナナリーもそう思いますか?そう思いますよね!?」

「はい!」

白熱する少女達を若いわ、と井上と千葉は見送る。
そんな視線のままお互いに顔を見合わせて苦笑いをして、共通点を見つけた二人は何気なく握手を交わした。

「何をしてるんだ?カレン、井上」

「扇さん!?あれ、みんなもどうしたんですか?」

カレンが振り返った先には扇に続き、玉城、吉田、杉山、南と、黒の騎士団初期メンバーの面々が居た。

「私達はお邪魔みたいですし、お部屋に戻りましょうか、ナナリー」

「はい」

ユーフェミアはナナリーの車椅子を押して扇達の横を通り過ぎる。
その後をC.C.も追う。

「なら私も」

「ピザは宜しいのですか?」

「時間が掛かりそうだしな。そこらへんに居る奴の携帯を借りる」

「私も失礼します」

千葉もその場から立ち去り、残ったのは黒の騎士団の初期メンバーのみとなった。

「まだ夕食を摂っていなかったから食堂に来たんだが・・・中に何かあるのか?」

扇はカレンの頭の上から中を覗き込む。
食堂には初々しい反応をしているゼロと枢木スザクの姿があり、いかにも女性が好んで話題にしそうな雰囲気がそこにはあった。

盗み見ていたことを怒られるだろうかと、カレンと井上は顔を引きつらせるが、そんな二人に扇は溜息を吐いただけだ。

「今は取り込み中みたいだな。みんな、夕食はもう少し後にしよう」

「はぁあ!?何だよ、扇ぃ、飯に誘ったのはお前だろぉ!?」

案の定、玉城が不満の声を漏らすが、扇は中の状況を言うのに戸惑い、口を濁らせる。

「いや、まぁ、いいじゃないか」

「納得でき」

「ほぇあ!!?」

玉城の更なる不満の声を遮るように聞こえたのはルルーシュの悲鳴だった。
何事だと皆、一斉に声を止めれば、食堂の中から罵声が続く。

「馬鹿!舐めるな!!」

「痕になったら大変だろ?」

「だからって舐めるな!恥ずかしい奴だなッ放せ!!」

どすどすと此方に向かってきた足音にカレン達は慌てるが、時既に遅し。

扉は自動的にスライドされて開く。
だが、彼女達は予想外の展開に目を丸くする。

ルルーシュは右手の手袋を左手に掴み、仮面を両手で支えるように胸の前に持ったまま。
素肌が覗く右手の人差し指の先は赤くなっていて、火傷しているのが分かる。
それは手を滑らせて紅茶がティーカップから跳ね掛かってしまった痕だ。

まさか人が居るとは思わず、通行止めになっている扉の前で立ち止まり、真っ赤になった顔をカレン達に晒してしまった。
カレンは既にゼロとルルーシュが結びついているため、特に驚きはしなかったが、他のメンバーはゼロが真っ赤な顔で瞳に涙まで溜めている姿に間抜けな顔を向けてしまう。

「ああ、クソッ」

ルルーシュは仮面を顔の前まで持ち上げて赤い顔を隠す。

「ルルーシュ、ちゃんと水で冷やそうよ」

「部屋の水道で良いだろッ」

スザクがルルーシュの腕を掴んで、食堂の台所へ連れていこうとするが、ルルーシュはそれに従う素振りは見せない。

「駄目だ。直ぐそこに水道あるじゃないか」

「お前が変なことしなければ直球で行ったさ」

「変なこと?」

「さっさと放せよ!」

「わっ、暴れないでよっ・・・ッ」

「スザク?」

突然脇腹を押さえたスザクにルルーシュは慌てて振り返る。
傷に響いたようだ。
蹲るスザクにルルーシュは仮面と片手の手袋を落とし、彼の身体を支えようとする。

「え・・・あ・・・救護班・・・いや、治療室は近くだ・・・えっと」

ルルーシュは辺りを見回し、カレン達を視界に入れる。

「扇、スザクを治療室まで運んでくれないか?」

命令では無いその言葉に扇は戸惑ったものの、直ぐさま頷いて、スザクの右腕を自分の肩に担う。

ゼロならば有無を言わせない命令が出来るはずにも関わらず、彼女はお願いするように頼んできた。
余裕が無く、それは素だったのかもしれない。
今にも泣き出しそうなルルーシュの顔を見れば尚更。

「歩けるか?」

「はい。すみません」

「いや、いいよ。君もあんまり無理するなよ」

「有り難う御座います」

二人の後をルルーシュはゼロの仮面を装着して追う。
三人の背中を見送りながらカレンは溜息を吐く。

「発展無しか・・・」

「そうでも無いかもしれないわよ」

「え?」

井上が指差す三人の方に再び視線を向ければ、ゼロの指がスザクの軍服の裾を掴んでいた。
ルルーシュからスザクに触れるところを見たことが無かったカレンは微笑む。
微笑ましいことこの上ない。

「でもよー、ゼロがやっても不気味じゃ、ごふッ」

カレンの裏拳が玉城の顔面に直撃した。















後書き



甘酸っぱいでしょうか?
いや、その前に手を触れ合っての部分に昭和な香りが・・・。

執筆中のBGMは電/王のED集と佐/倉/紗/織さんの電波なギャルゲーソングv(色々滅茶苦茶)
ウラの歌が結構好きかも。


更新日 2007/09/04